

植朗子
伝承文学研究者
プロフィール
伝承文学研究者。神戸大学国際文化学研究推進インスティテュート学術研究員。1977年和歌山県生まれ。神戸大学大学院国際文化学研究科博士課程修了。博士(学術)。著書に『鬼滅夜話』(扶桑社)、『キャラクターたちの運命論』(平凡社新書)、共著に『はじまりが見える世界の神話』(創元社)など。最新作に『鬼滅月想譚』(予約受付中)。
植朗子の記事一覧


『鬼滅の刃』の鬼「童磨」が“同情できない鬼”なのに人気なワケ
2020年の年末に、映画興収がついに歴代最高を記録した「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」。映画では「上弦の参」と呼ばれる鬼・猗窩座の強さにも注目が集まった。鬼の中でも桁違いな強さをみせる「上弦の鬼」を、その特性ごとに分類していくと、上弦の弍・童磨だけが異質であることに気づく。童磨のエピソードには、鬼らしい残酷さ、うそに満ちた感情表現、他人への優しさの欠如など、マイナスの要素が多く盛り込まれている。「鬼にならざるを得なかった」同情的なエピソードは皆無なのだ。にもかかわらず、童磨はなぜ人気キャラクターなのだろうか? (※以下の記事には、『鬼滅の刃』コミックス既刊分のネタバレが含まれます。)

甘露寺蜜璃と胡蝶しのぶ 『鬼滅の刃』で2人の「女神(ミューズ)」が必要だった意味
2020年後半の話題をさらった漫画『鬼滅の刃』と「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」の大ヒット。鬼と戦う「鬼殺隊」の最強の剣士たち「柱」には、2人の女性剣士、甘露寺蜜璃と胡蝶しのぶが登場する。2人は、これまでの少年漫画における女性キャラクターとは一線を画す位置付けにあり、戦いの女神のように、鬼vs人の戦況に影響を及ぼす。本来「女神」とは、神話などに登場する、女性の姿をした神的存在を意味する。しのぶと蜜璃は自らの身を賭して戦い、命を救われた人々から「女神」のように敬われ、愛された人物である。戦いの女神(ミューズ)として物語の中で重要な役割を果たす、甘露寺蜜璃と胡蝶しのぶについて考察する。 (※以下の記事には、『鬼滅の刃』コミックス既刊分のネタバレが含まれます。)
