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週刊朝日

第1199回 面白くて賢くて憎めないカレン
第1199回 面白くて賢くて憎めないカレン わが家に彼女がお目見えしたのは9年前、娘が小学校4年生のときだった。娘が夫と2人で映画を見に行った帰り、街頭で売られていた子犬に一目惚れして夫にねだり、私の許可なく買ってきた。  その日、外出から戻った私の目にまず映ったのは、何とも汚らしい犬の背中だった。 「誰が育てるの!」と怒り心頭の私。でも抱きかかえようとその犬の顔を見た瞬間、私もとりこになってしまった。  あまりにも可愛かったので「カレン」と名付けた(写真)が、可憐どころか、やんちゃ娘に育ってしまった。  猟犬の血が入っているのか、散歩中に小さな犬や猫を見かけると、すぐに飛びかかろうとするので、制御するのに一苦労だ。  カレンが4歳のころ、私は外の石段で知人と立ち話をしていた。とそのとき、カレンは猫を見かけたのか、急に飛び出し、5段ほど一気に飛び降りてしまった。一緒に引きずられた私は、その拍子にかかとを地面に強く打ちつけ、整形外科に通う羽目になった。  今年は、大雪が降った日に犬の散歩に出た私は、不覚にも滑って転び、左手首を骨折。またもや整形外科へ。  こんな目にあっても憎めないのは、彼女の行動が家族を和ませてくれるからだ。落ち込んでいると、なめて慰めてくれる。お尻がかゆいときは床にお尻を擦りつけて進むさまが面白い。  おなかがすいたりのどが渇いたりしたら、自分の器を持ってきて床にコトンと落として知らせてくれる。網戸も自分の鼻と前足で開けるようになり、なかなか賢いのだ。  わが家に来たときは生後3カ月の赤ちゃんだったカレンも、今やわが家の警備員として活躍してくれる頼もしい存在だ。 (河野秀美さん 福岡県/56歳/パート)
「生前退位」のシナリオ…安倍首相に亀井静香「サボタージュしろ」と“助言”
「生前退位」のシナリオ…安倍首相に亀井静香「サボタージュしろ」と“助言” 天皇陛下の「生前退位」に向け、政府の有識者会議がいよいよ始動した。だが、一部で報じられている、来年に特例法が国会で成立、2018年に退位のシナリオは本当に実現するのか。水面下では皇室・宮内庁と官邸の思惑がぶつかり合い、暗闘が繰り広げられていた──。
住友銀行秘史
住友銀行秘史 こんなヤツらにカネを預けて大丈夫なのか? 読みながらつくづく思った。  國重惇史の『住友銀行秘史』は、イトマン事件について当時の住友銀行内から観察したノンフィクションである。戦後最大の不正経理といわれる同事件は、たんに不正をやってバレて首謀者がお縄になった、というような単純なものではない。イトマン(伊藤萬)、そして同社に多額の融資をしていた住友銀行内の、派閥抗争・人事抗争も含むドロドロしたなかで起きたことだった。不正を諫めようとする者、それに乗じてひと儲けたくらむ者、人間の欲と感情がもつれ合う。  事件の渦中、著者は内部告発文書を何度も発信し、ときには新聞記者らと手を組みながら、行内の膿を絞り出そうと奮闘した。本書は著者が手帳に克明に記録していた文章を元に事件を再現するものだ。ほとんどの人物が実名で登場し、悪態も含めて著者が抱いた感情がストレートに記されている。ジャーナリストが書いたものにはない迫力を感じる。  バブルを象徴する事件だったのだとあらためて思う。繊維をメインにしていた老舗商社が総合商社になって、より拡大していこうとしてマネーゲームにはまりこんでいく。土地を使った錬金術や詐欺同然の美術品取引など、まるで小説のよう。  呆れてしまうのは、住友銀行会長の磯田一郎や住銀役員から伊藤萬社長になった河村良彦らの公私混同ぶりだ。老いても地位にしがみつき、身内に甘い汁を吸わせようと画策する。腐った幹部の取り巻きもまた腐っている。  でも、腐っていたのは住銀だけだろうか?
GORILLA My God 我が神、ゴリラ
GORILLA My God 我が神、ゴリラ 著者は父の仕事の関係で高校の2年間をアフリカで過ごし、ゴリラと出会い、強く惹きつけられた。将来の仕事はゴリラ研究者か、もうひとつの興味の対象=競馬か──進路に悩んだ末に馬を選び、厩舎を開業して20年が経つ。JRAと地方競馬で通算235勝(2016年9月時)、08年には管理馬スマイルジャックがダービーで僅差2着。日本中を飛び回る調教師として活躍中だ。  だが近年、断ちきったはずのゴリラ愛が蘇り、保護活動につながるゴリラトレッキングツアーに参加するなど毎年アフリカに通う。騎手の武豊が「ゴリラとも話せるなんて」とびっくり?しているとか。  シルバーバックの迫力巨体や思慮深い瞳など、著者が撮ったゴリラや、現地の子供の写真も満載。“地球愛”を感じる素敵な一冊だ。

この人と一緒に考える

父母(ちちはは)の記 私的昭和の面影
父母(ちちはは)の記 私的昭和の面影 86歳になった思想史家が、自身の大連からの引き揚げの記憶と生い立ち、共産党への入党のほか、若い時に知遇を得た人らについて綴った。  日活専属の活動弁士だった父親には、ほとんど切れ目なく隠し女がおり、勘のいい母親は、さっさと見限るようにも、父親の善良さと男振りを愛していたようにも映ったという。著者は父母の夫婦喧嘩に悩まされ、中学に入るまで、12歳上の異母兄を実の兄と信じて育つ。中学2年のころ詩と文学に開眼し、3年生から4年生にかけては詩と短歌ばかりを書き、行く末は一所不住の詩人の境涯しか夢見ることができなかった。  吉本隆明や橋川文三との思い出も明かされる。たくさんの出会いの中で、誰をもっと大切にしなければならなかったかがようやくわかって来た、とは深い言葉だ。 ※週刊朝日 2016年11月4日号
山谷 ヤマの男
山谷 ヤマの男 眼光の鋭い元ボクサー。タオルの鉢巻きをしたジャージ姿の男……。背景に黒布を垂らしただけのポートレートなのに、撮影した場所の空気が伝わってくる。  東京都台東区から荒川区にある日雇い労働者の街「山谷」の男たちから「写真屋のネエちゃん」と呼ばれた著者の写文集だ。  両親は「あしたのジョー」にも登場する泪橋の交差点近くで大衆食堂を営んでいた。だが子供の頃は近隣への出入りを禁じられていたという。「山谷の男だけがもっている、もたされている生の証を写したかった」。1999年、33歳のとき、公園の一角に暗幕を張り、青空写真館を設営。以来、100人を超える肖像を撮影した。  男たちから聞き出した打ち明け話は、虚実に夢が混ざる。彼らの風貌を確かめるため、何度も写真の頁をめくりなおしてしまう。

特集special feature

    2年前に「老朽化で危険」論文 “電線火災”対策で東電の苦境
    2年前に「老朽化で危険」論文 “電線火災”対策で東電の苦境 前門の虎、後門の狼──。東京電力の経営陣はこんな心境ではないだろうか。東京都内の約58万戸が停電した地中送電ケーブル火災を受けて東電は安全対策に乗り出しているが、東日本大震災による福島第一原発事故の賠償金、廃炉費用などにも巨額な資金を必要としており、さらなる難題が降りかかった形だ。

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